はじめに。
私は現在65歳です。新卒で入社した日本の大手総合電機メーカーで30年以上働き、その後、急成長中のファブレスメーカーで開発のトップを務めました。そして現在は、自らの法人を立ち上げ、一人の「実行者」として新たなモノづくりに挑んでいます。
この記事は、日本のモノづくりに危機感を抱くビジネスパーソンや、今後のキャリアに悩む方々に向けた、私の半生の記録であり、書籍化を目指す企画の初稿です。
1. 「独歩」の運命と、大企業での孤軍奮闘
思えば私の人生は、学生時代から常に「新しい環境に1人で飛び込む」という運命に導かれてきました 。大手電機メーカーに入社した際も、花形であったビデオ機器の開発部署に配属されたのは、同窓の中で私ただ1人でした 。
その後、欧州や南米という独自の放送方式を持つ特殊な市場を担当することになります 。現地への出張は常にたった1人 。言葉の壁があっても物怖じせず、強引とも言える積極性でプロジェクトを推し進める「孤軍奮闘」のなかで、世界を相手に戦う術を身につけました 。
また、何でも自社で作る「自前主義」が当たり前だった当時の大企業にいながら、外部の海外協業先を自ら引っ張ってきて開発を進めるという、極めて稀有な経験も積むことになります 。これが、後の私のキャリアを決定づける大きな武器となりました。
2. ファブレスメーカーでの躍進と「残酷な現実」
早期退職後、私は自前で開発部隊を持たないファブレス企業へと移りました 。そこでは、外部の協力会社の技術を使って製品化するスタイルが求められましたが、これは私が前職ですでに経験していた手法と完璧に合致したのです 。
しかし、スマートテレビの開発において、私はグローバル市場の「残酷な現実」に直面します 。複数の協業先をまとめるハードウェア設計の困難さなどから開発は遅延し 、日本のデジタル商品における「開発プラットフォームの不在」という構造的な弱点を痛感したのです 。
かつての垂直統合モデルは限界を迎えており、日本は完全に世界の激流から遅れをとっていました 。
3. プライベートブランド(PB)開発が陥る罠
60代半ばで独立し、複数の企業と関わる中で、私はある決定的な事実に気がつきました 。現代の小売業やファブレス企業はPB開発に注力していますが、その多くは「自前でモノを作る」土台を持っていません 。
外部に委託してもブラックボックス化し、品質や機能でトラブルを抱え込んでしまうのは、全体を俯瞰しコントロールできる人間がいないからです 。
ここで必要とされるのは、皮肉なことに、かつて大企業で泥水をすする思いで培ってきた「企画から品質管理まで一貫した垂直統合の経験」を持つ者なのです 。
4. 評論家になるな、実行者であれ
私はこの事実を「ビジネス理論」として語るだけのコンサルタントや評論家で終わるつもりはありませんでした 。
事業を拡大するために泥臭く取引先を変えながら実績を積んだ、個人事業主だった亡き父のシビアな経営感覚が私の中にあったからです 。ビジネスの真髄は、自らがリスクを背負い、「実行」して結果を示すことにあります 。
その証明として、私は自身の法人を設立しました 。現在は、自らの企画とマネジメント力で、海外展開を見据えたオリジナルのプロダクト(時計)開発プロジェクトを始動させています 。
資金調達のために地元の商工会議所に足を運び、補助金申請に奔走するなど、法人の代表になったからといって魔法のように進むわけではなく、現実は泥臭いことの連続です 。
しかし、私は年齢や環境を言い訳にはしません 。
この不器用で泥臭い半生の記録が、次に立ち上がる誰かの背中を押す「バイブル」となることを、心から願っています 。
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